創業と守成いずれが難きや
帝王学の書といわれる貞観政要に記されている有名な問いです。
また、この問いの答えが覚えられていないことも特徴といえます。
古くから持っている山本七平氏著のほかに、 出口治明氏の書かれたものを最近、購入しました。
答えは「創業は易く守成は難し」なのでしょうか。
「創業は易く守成は難し(そうぎょうはやすくしゅせいはかたし)」との言葉がありますが、上記の二冊からは、創業のときが終わり、創業の体制から守成の体制に切り替える時期になったことを唐の太宗が家臣に伝えるための問いと、私は理解しています。
山本七平著 帝王学 ~貞観政要の読み方~より
(唐の2代皇帝の)太宗は次のように答えた。
「房玄齢は、私と共に乱世に打ち勝つのに大変な苦労をした。その経験があるから創業が困難だと見るのだろう。
一方魏徴は、平和の維持と政権の維持を私と共に勉め、驕りと逸脱の兆候があれば必ず危機に遭遇すると常に考えている。これが守文(維持)の方が難しいと考える理由であろう。
共に一理あるが、今や創業の困難の時は去った。これからは守文の困難さに、諸君と共に慎重に対処したいと思う。」
出口治明氏の座右の書「貞観政要」には、
「創業と守成では求められる能力が違うので、単純に比較できないと思います。たとえるなら、創業が100メートル走で、守成がフルマラソン、といったところでしょう。」と述べられています。
マザーハウスにおける創業から守成への切替
株式会社マザーハウスの山口絵里子社長著 Third Way(サード ウェイ)より
(創業当初は)ストーリーに共感し、「応援したい」という動機でモノを買ってくれる。
このステージで達成できるのは、売り上げ規模としてせいぜい1億円程度だと思う。
次に店を増やしていった。「コンセプト共感」から「モノ共感」へ移行したステージだ。
関連 https://www.50plus-network.jp/山口マザーハウス社長のthird-way/
年輪経営 ~樹木からの大いなる学び~
伊那食品工業株式会社 塚越寛最高顧問著 末広がりのいい会社をつくる年輪経営より
・・・木の成長の姿は、そのまま会社にも当てはめることができます。
起業したばかりの若い会社は、勢いよく伸びていくのかよいでしょう。ある程度の規模に達したら、成長のスピードを緩め、景気の波などの外部環境に左右されることなく、毎年わずかずつでも着実に成長し、末広がりに永続していくことが肝要です。適正規模に育った会社は、やみくもに成長を急ぐのではなく、社員や地域に貢献することを第一の使命とすべきなのです。
このような在り方を「年輪経営」と呼んで、理想的な社会の姿と捉えいます。